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健康経営向上コラム

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【2022年 最新解説!】いまさら聞けない健康経営の概念と取り組みメリット

01-健康経営の概念と期待される効果

健康経営とは、経済産業省によると、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されています(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html)。企業理念に基づき、従業員に対して法律の定めを越える健康投資を行うことは、従業員の活力向上や、生産性の向上といった組織の活性化をもたらし、結果的に業績や株価の向上につながると期待されています(図1)。

図1:「健康経営・健康投資」とは(引用:経済産業省、健康経営の推進について、2021年10月、P.19

特徴としては、健康経営に関わる費用はコストではなく投資であり、リターンが期待できる点が挙げられます。また、そのリターンは、従業員の健康増進、活力向上だけでなく、離職率の低下や優秀な人材獲得などのリクルート効果をもたらします。さらには、組織の活性化や、日本の課題である生産性向上といったモチベーションのアップ、イノベーションが起こる可能性、また、これらによる業績や株価、企業価値の向上まで期待できるのです。

近年では、企業内の取り組みである健康経営が、退職者の健診受診率を向上させ、これにより、地域の健康への貢献や、ヘルスリテラシーの向上など、社会的な好影響を及ぼすことも分かってきました。このように、健康経営の効果は企業内にとどまることなく、地域や社会へも好影響を与えるのです。

02-令和3年度顕彰制度等について

さて、3月9日には、令和3年度顕彰制度が公表されました。まず今回の顕彰制度への健康経営優良法人の調査票回答数の推移(表1)は下記となります。

表1:顕彰制度の健康経営度調査票への回答数(著者作成)
(参考:経済産業省、健康・医療新産業協議会 第4回健康投資WG 事務局説明資料1、令和3年12月

年度 上場企業 大規模法人部門 中小規模法人部門
2015 493
2016 573
2017 608 726 397
2018 718 1,239 816
2019 869 1,800 2,899
2020 964 2,328 6,095
2021 970 2,523 9,403
2022 1,058 2,869 12,849

表1が示すように、健康経営度調査票への回答数は右肩上がりで増え続けています。特に上場企業の調査票回答数は、2022年で1,058社となり、全上場企業約3,800社の約1/4強に当たる28%が回答しています。さらに、経済産業省によれば、日本の株式市場の代表的な株価指数の一つである日経平均株価(日経225)に採用される超大企業の約8割が、健康経営度調査票に回答しています。
つまり、日本を代表する超大企業のうち、健康経営に取り組んでいない企業は少数で、補助金や助成金が準備されていない政府の顕彰制度としては、異例の普及と考えられます。また、多くの企業が、健康経営について、取り組むべき課題、または経営戦略であると認識していると捉えることもできます。

次に、選定&認定企業数(表2)は下記通りです。

表2:健康経営顕彰制度の選定&認定企業数(著者作成)
(参考:経済産業省、「健康経営銘柄2022」に50社を選定しました!
「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!令和3年3月9日

年度 健康経営銘柄 健康経営優良法人(大規模法人部門) 健康経営優良法人(中小規模法人部門)
ホワイト500 認定 ブライト500 認定
2015 22
2016 25
2017 24 235 318
2018 26 539 775
2019 37 813 2,501
2020 40 495 1,481 4,723
2021 48 500 1,801 500 7,934
2022 50 500 2,299 500 12,255

申請数も増えていますが、選定&認定数も順調に増えています。認定は、大規模法人部門では、前年度比128%、中小規模法人部門では、前年度比154%となり、中小規模法人部門では初めて1万社を超えました。つまり、健康経営度調査票に則った取り組みも、多くの申請企業が出来始めていると言えるでしょう。

さらに、3月15日には、健康経営度調査に回答いただいた法人に対し評価順位や偏差値等を記載した評価結果(フィードバックシート)が、経済産業省のホームページにて公開されました。

対象は、日経平均株価を構成する225社のうち約70%にあたる158社を含む約2,000社のフィードバックシートとなり、比較が可能な形(エクセルシート)となります。つまり、1位からの総合ランキングも出せる形になるということです。ちなみに総合評価第1位は株式会社タニタヘルスリンクとなり、上場企業だとANAホールディングス株式会社です、おめでとうございます!

03-健康経営への取り組みメリット

なぜ今健康経営に取り組んでいる企業が増えているのでしょうか。答えはシンプルで、会社業績等に好影響を与えているからです。下記図2は、私達の調査から企業に期待する健康経営の効果となります。

表3:健康経営の取り組みメリット(著者作成)ロバート・ケーラム、千葉香代子:儲かる「健康経営」最前線、ニューズウィーク日本版、pp.48-53、2011-03-02より筆者改正

期待される効果 短期 中期 長期
イメージアップ メディア掲載数と
その広告換算額
株価 ブランドロイヤリティー
リクルート効果 内定者アンケート 内定辞退率、
ターゲット校採用数
応募者一人当たり採用コスト、
応募倍率
モチベーション
アップ
モチベーション
(従業員ロイヤリティー・満足度)
ワークエンゲージメント、
心理的安全性
ヘルシーカルチャー、
イノベーション
生産性の向上 欠勤率や
アブセンティーイズム
離職率 プレゼンティーイズム
医療費の削減 総合健康リスク度 高ストレス者数 一人当たり医療費
その他 会話数&話題数
ヘルスリテラシー
イベント参加率や満足度 信頼度

見方は、最左段は、健康経営の効果となり、経済産業省が10年前のスタートから健康経営の推進においてエビデンスの一つとしているJohnson&Johnsonの事例を参照しています。その他が日本独自の効果として追加しています。上段2項目のイメージアップとリクルート効果が外部効果(社外への影響等)、以下4段のモチベーションアップ、生産性の向上、医療費の削減、その他が内部効果(社内への影響)を表しています。さらにその効果を測定するための項目と、横軸として短期、中期、長期として設定しています。太い黒字が主に経営にかかわる指標で、健康面だけでなく経営面でもすでに多くの効果か得られることが分かってきています。

いかがでしたか? 3月選定また認定された企業の皆さまおめでとうございます♪ 今回惜しくも認定されなかった企業の皆さまは、これに諦めることなく引き続き積極的に取り組んで参りましょう。次回は、健康経営の取り組み手法や今後の展望について取り上げます。お楽しみに!

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。