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健康経営向上コラム

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来年に向けていまから学習!
健康経営の顕彰制度を詳しく解説します

先日、本年度の健康経営優良法人の申請が締め切られました。「やっと一息」という担当者様も多いかと思いますが、来年に向けてのアクションを考えはじめる時期でもあるでしょう。そこで今回は、基本に戻って健康経営銘柄や健康経営優良法人の仕組み、顕彰制度について詳しく解説します。顕彰制度の成り立ち、申請企業の数の推移・傾向など、来年に向けていま知っておくべきポイントをまとめます。

01-日本健康会議認定の健康経営優良法人

2023年の顕彰制度である健康経営優良法人は、本年10月14日に大規模法人部門、10月21日に中小規模法人部門の申請が締め切られました。健康経営に取り組んでいる方は間に合いましたでしょうか?
さて今年度のフローの大きな変更点として、①ACTION健康経営WEBサイトからの申請、②認定申請料の新設(大規模法人部門:税込88,000円/件、中小規模法人部門:税込16,500円/件)があげられます。また発表も3月~4月となっており、例年より時期が後ろずれしているようです。

本コラムでは、健康経営銘柄や健康経営優良法人の仕組みについては詳しく説明してきませんでした。そこで今回基本に戻って顕彰制度について紹介します。
主に経済産業省が関係している顕彰制度は下記となります。

大企業等と中小企業等に分かれており、まず大企業上位に東京証券取引所の上場企業を対象とした「健康経営銘柄」と健康経営銘柄含む上位500社を対象とした「健康経営優良法人(ホワイト500)」があります。中位に「健康経営優良法人」の認定があり、下位に回答したが不認定企業があります。最下段には健康経営度調査に回答していない企業や法人等が1万社以上あります。中小企業では、上位500社を対象とした「健康経営優良法人(ブライト500)」と、中位に「健康経営優良法人」の認定があり、下位に回答したが不認定企業があります。最下段には健康経営度調査に回答していない企業や法人等が300万社以上あります。顕彰制度して大企業等と中小企業等の違いは、健康経営銘柄があるかどうかとなります。健康経営銘柄については次項で紹介します。

さて、認定では、大企業等と中小企業等ともに健康経営優良法人の認定団体は、経済産業省も参加している日本健康会議となっています。少しわかりづらいので解説すると、「日本に住む一人ひとりの健康寿命の延伸と医療費の適正化について、民間組織が連携し行政の全面的な支援のもと実効的な活動を行うために組織された活動体です。」となっています。具体的には、官庁では経済産業省始め厚生労働省、スポーツ庁等の他、日本経済団体連合会(経団連)や東京商工会議所等の経済団体、日本医師会等の医療団体、全国保険協会等の保険者、全国自治会連合会等の自治体などが参加しています。これらが連携・協力し、職域、地域の創意工夫を生かしながら「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」を達成し、誰もが活躍できる社会を実現していくことを目的としています。補足として、このホームページでは、健康経営優良法人の他に、厚生労働省が主管している健康スコアリングレポートやデータヘルスの最新情報、他に地方自治体での取り組みも紹介されています。そういう意味では職域や地域に関わる様々な健康情報がわかるサイトになっているかと思います。ぜひ定期的にご覧ください。

02-東京証券取引所と経済産業省が共催の健康経営銘柄

さて上述の通り「健康経営銘柄」だけが選定母体が、東京証券取引所と経済産業省の共催になっています。これは顕彰制度の成り立ちに関係しています。最初に、上場企業を対象とした健康経営銘柄(2014年)が新設され、その後上場企業を含む大企業等や中小企業等を認定する「健康経営優良法人(2016年)」制度ができたため、微妙に選定・認定母体が異なっています。しかし、申請自体は、健康経営度調査に回答すれば良いだけになっていますので、申請者の企業等側(特に上場企業)からみれば手間がかからない制度になっているのではないでしょうか。

また東京証券取引所に上場している企業のみが対象のため、健康経営度調査に回答している医療機関や宮崎県等の地方自治体や全国の商工会議所は当然対象になっていません。業種は、東京証券取引所の33業種から原則1社の選定(該当企業がない場合その業種からは非選定/2022年度は倉庫・運輸関連業が該当)していますが、各業種最高順位企業の平均より優れている企業についても銘柄選定候補として選出することになっており、業種としては下記が銘柄として認定されています。

業種 認定数 企業名(証券コード)
1 電気機器 7社 コニカミノルタ株式会社(4902)、株式会社明電舎(6508)、オムロン株式会社(6645)、日本電気株式会社(6701)、セイコーエプソン株式会社(6724)、株式会社アドバンテスト(6857)、キヤノン株式会社(7751)
2 情報・通信業 4社 Zホールディングス株式会社(4689)、株式会社DTS(9682)、株式会社KSK(9687)、SCSK株式会社(9719)
3 化学 4社 積水化学工業株式会社(4204)、花王株式会社(4452)、第一工業製薬株式会社(4461)、富士フイルムホールディングス株式会社(4901)
4 サービス業 3社 株式会社ベネフィット・ワン(2412)、株式会社バリューHR(6708)、株式会社アドバンテッジリスクマネジメント(8769)
5 水産・農林業 2社 日本水産株式会社(1332)、マルハニチロ株式会社(1333)
6 卸売業 2社 株式会社TOKAIホールディングス(3167)、豊田通商株式会社(8015)
7 金属製品 2社 株式会社SUMCO(3436)、日東精工株式会社(5957)
8 保険業 2社 SOMPOホールディングス株式会社(8630)、東京海上ホールディングス株式会社(8766)
9 鉱業 1社 株式会社INPEX(1605)
10 建設業 1社 高砂熱学工業株式会社(1969)
11 食料品 1社 アサヒグループホールディングス株式会社(2502)
12 不動産業 1社 東急不動産ホールディングス株式会社(3289)
13 パルプ・紙 1社 大王製紙株式会社(3880)
14 医薬品 1社 協和キリン株式会社(4151)
15 石油・石炭製品 1社 出光興産株式会社(5019)
16 ゴム製品 1社 住友ゴム工業株式会社(5110)
17 ガラス・土石製品 1社 日本特殊陶業株式会社(5334)
18 鉄鋼 1社 ジェイエフイーホールディングス株式会社(5411)
19 非鉄金属 1社 古河機械金属株式会社(5715)
20 機械 1社 アネスト岩田株式会社(6381)
21 輸送用機器 1社 豊田合成株式会社(7282)
22 精密機器 1社 株式会社島津製作所(7701)
23 その他製品 1社 ヤマハ株式会社(7951)
24 繊維製品 1社 株式会社ゴールドウイン(8111)
25 小売業 1社 株式会社丸井グループ(8252)
26 銀行業 1社 株式会社愛知銀行(8527)
27 その他金融業 1社 リコーリース株式会社(8566)
28 証券、商品先物取引業 1社 株式会社大和証券グループ本社(8601)
29 陸運業 1社 東海旅客鉄道株式会社(9022)
30 海運業 1社 株式会社商船三井(9104)
31 空運業 1社 日本航空株式会社(9201)
32 電気・ガス業 1社 北海道電力株式会社(9509)
33 倉庫・運輸関連業 該当なし

東京証券取引所ホームページより筆者改変

健康経営度調査の回答数とは数字が合わないですが、健康経営銘柄から判断すると、業界としては、電気機器業界が健康経営銘柄7社選定されており、健康経営に取り組みやすい業界といえるでしょう。一方倉庫・運輸関連業には該当企業がなく、健康経営度調査への回答企業はありますので、加点項目を追加した「健康経営度が上位20%以内(重大な法令違反等除く)」等に入っていないと推察され、取り組みにくい業種と判断できます。ちなみに2023年度から、1業種最大4社までとなりましたので、電気機器業界は2022年から減少されることが見込まれています。

いかがでしたか?「健康経営の推進」は経済産業省が主管していますが、顕彰制度は上記2種類あり、他に地方自治体主催の顕彰・認定制度もあります。そう考えると健康経営と一口に言っても何の選定や認定を目指すかによって取り組み方も若干異なると思います。ぜひ顕彰制度も目標と設定して取り組んでいきましょう!次回は、・・・。お楽しみに!

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