健康経営支援サービス

健康経営向上コラム

健康経営を担う人事ご担当者様に、
役立つ情報を発信しています。

「健康経営」の
効果的な進め方
~「メンタルヘルス」への
「運動」の重要性~

健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法です。つまり、企業が従業員の健康を重視し、その健康を維持・向上させるための取り組みを行うことで、企業全体の活力や生産性を高める戦略です。健康経営優良法人の認定数が増え続けているところからも、健康経営が不可欠な時代となっているのが分かります。(資料1参照)

(資料1 経済産業省)

では、どのように進めていけばよいのでしょうか?
健康経営は「運動」「栄養」「休養」を軸に考えると進めやすくなります。運動とメンタルヘルスの関係は非常に重要な要素となっています。
健康経営において運動の重要性、運動がもたらすメリット、実践方法について整理していきます。

01-運動がメンタルヘルスに与える影響

■ストレスの軽減「セロトニン」

運動は、「セロトニン」などの幸せホルモンの分泌を促します。これにより、運動後にはリラックス効果や幸福感が得られます。特に有酸素運動(例:ジョギング、ウォーキング、サイクリング)は、ストレス解消に効果的です。
私は「ランニングをサポートする会員制パーソナルスクール」を運営していますが、メンバーの方がランニングの向上と共に、人生の充実感や自信が向上していくのを目の当たりにします。この結果、生活のリズムが整い、仕事へも前向きに取り組むことが出来るようになり、生産性の向上へとつながるのです。

■睡眠の質の改善「メラトニン」

適度な運動は睡眠の質を向上させ、睡眠不足によるメンタルヘルスの悪化を防ぎます。良質な睡眠は、日中の集中力を維持するために不可欠です。
運動により、「セロトニン」の分泌を促進させることは理解できました。脳の神経細胞内で「セロトニン」を作る材料として太陽の日光や、食事からの栄養が必要になります。食事は、豆腐や納豆などの大豆製品のほか、チーズやヨーグルトというような乳製品が適しています。
「セロトニン」は夜間に「メラトニン」へ変換されます。「メラトニン」は睡眠を誘導するホルモンで、その分泌量や推移が睡眠の質に影響を与えます。つまり、幸せホルモン「セロトニン」がしっかり作られないと、睡眠を誘導するホルモン「メラトニン」も作られなくなり睡眠の質低下につながる訳です。
この流れからも、天気の良い日に朝日を浴びランニングなどの運動を行い、大豆製品・乳製品の食事を摂ることは、「メラトニン」の分泌を促進させ、睡眠の質を向上させるために効果的です。

02-具体的な実践例

■運動プログラムの導入

従業員の健康促進のために、フィットネス施設と法人契約をして運動習慣を提供することや、定期的な運動イベントを開催するなどを行うケースが多いです。運動イベントとしては、ランニングイベント、ウォーキングイベント、ヨガ体験などが一般的な例です。これにより、運動の習慣化をサポートします。

■健康アプリの利用

従業員が自分の健康状態をモニタリングできるように健康アプリを提供することも一つの方法です。ウォーキングアプリにより、運動やメンタルヘルスケアを日常的に実践しやすくなります。

■メンタルヘルスと運動の教育

従業員に対して、運動がメンタルヘルスに与える影響についてのセミナーやワークショップを開催することも有効です。これにより、運動の重要性を理解し、自発的に取り組む意欲が高まります。
実際に運動習慣を持っている人の割合はどれくらいだと思いますか?年齢別、男女別の違いなどは想像できますでしょうか?
運動習慣のある者の割合は、20~64歳の男性で23.5%、20~64歳の女性で16.9%と決して高いとは言えません。女性より男性の方が高い傾向にあり、年代別に見てもバラバラです。働き盛りの年代が低い傾向もあります。(資料2参照)

(資料2 厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査報告)

03-健康経営における課題の把握と解決策

健康経営を進めるにあたり、重要なのは「課題を把握して、その課題を解決するために進める」ことです。

■健康診断とストレスチェック

従業員の健康状態を把握するために、定期的な健康診断ストレスチェックが重要です。健康診断では身体的な健康状態を確認し、異常があれば早期に対応することが可能です。また、ストレスチェックではメンタルヘルスの状態を評価し、ストレスの原因や程度を明らかにします。

■結果把握の重要性

健康診断ストレスチェックの結果をしっかりと把握し、健康管理データを分析することは、適切な健康管理業務を行うための第一歩です。これにより、従業員一人ひとりの健康状態を理解し、ニーズに応じたサポートを提供することが可能となります。
健康診断ストレスチェックの結果を基に、運動不足やストレス過多といった具体的な課題を明らかにし、ターゲットに対する対策を計画・実行することが健康経営の成功には欠かせません。
例えば、運動不足が課題となっている場合に、とりあえずランニングイベントを開催する。この流れでは、せっかく投資している健康経営が無駄になってしまう可能性が大きいです。
「社内でランニングイベントを開催するものの、集まったのは運動習慣のあるメンバーのみ」といったケースを経験したことがあります。
会社の目的としては「運動習慣の無い従業員に参加してもらいたい。」「健康診断のメタボメンバーに運動習慣を身に付けてもらいたい。」ということが狙いのはずです。その先に、社内でのコミュニケーションツールとして運動イベントが使われ、「コミュニケーション強化」、「生産性の向上」へとつながり、健康経営の相乗効果が生まれていきます。
ターゲットをしっかりと設定して、ターゲットに参加してもらいやすい環境づくりを進めなければ、効果が薄れてしまう形となるのです。
そのためにも事前の問題点・課題把握、ターゲット設定、解決策、ターゲットの参加率を上げる工夫、をしっかり行うことが重要になってきます。(資料3)
事前の問題点把握が出来る環境になっているでしょうか?「健康経営」を実行するのであれば、戦略的に計画し意味のある対策を実行していきましょう。

(資料3)

■まとめ

健康経営において、運動とメンタルヘルスの関係は社員の健康と生産性を向上させるために不可欠です。運動はメンタルヘルスを支える重要な要素であり、企業が積極的に運動プログラムや支援制度を導入することで、社員のウェルビーイングを高めることができます。また、健康経営を効果的に進めるためには、健康診断やストレスチェックの結果を通じて課題を把握し、その課題を解決するための具体的な対策を実行することが重要です。これにより、企業全体の活力が向上し、持続的な成長が期待できます。
健康経営優良法人の認定数が約2万社になり注目度が上がるものの、「真の実行」に移せていない企業も多いのではないでしょうか。従業員のために行う「変革」ですので、ポイントを押さえながら戦略的に進めていく必要があります。(資料4)
健康経営は単なる福利厚生ではなく、『企業の持続的成長を支える重要な戦略・長期的な投資』であることを認識し、『健康経営施策』を積極的に戦略的に取り組むことが求められます。

(資料4)

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

参考資料

https://kenko-keiei.jp/houjin_list/
https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf

執筆者経歴

Keep Running 代表(https://keeprunning-studio.com/) キープランニング株式会社 代表取締役
楢木 十士郎 氏
大手旅行会社勤務、製薬会社勤務を経て、2023年より現職。30歳から走ることに目覚め、24時間で何キロ走れるか距離を競うウルトラマラソンの4期連続日本代表、3期連続キャプテンを務める。今も世界へ挑戦し続ける。会員制ランニングスクール「Keep Running」を運営しながら、法人対象に「健康経営」の研修・サポート事業を行う。「健康経営」に必要な「運動」「栄養」「休養」をサポートする。

【実績】

<IAU24時間走世界選手権 日本代表>(※IAU:国際ウルトラランナーズ協会)
2013年 255.940km 6位 団体戦銀メダル(オランダ)
2015年 215.694km 59位(イタリア)
2017年 251.087km 14位 団体戦金メダル(北アイルランド)
2019年 250.865km 16位(フランス)

【資格】

MBA(経営学修士,GLOBIS 2022)/健康経営エキスパートアドバイザー(認証番号:23001370)/予防医学指導士(ID:R601379)/ランニングアドバイザー/日本スロージョギングベーシック/アスリート栄養食インストラクター/スポーツフードマイスター