健康経営支援サービス

健康経営向上コラム

健康経営を担う人事ご担当者様に、
役立つ情報を発信しています。

「健康経営」の
効果的な進め方
~「運動」と
「コミュニケーション」~

■健康管理データの分析と問題点の把握

第1回目のコラムでは、健康管理データを分析し、「問題点・課題把握」「ターゲットの設定」を行うことの重要性について確認しました。
従業員の健康診断や特殊健診のデータをもとに、現在の健康状態やリスク要因を把握し、特に注意が必要な従業員やグループを特定することが大切です。
きっちりと向かうべき方向を定めて施策を実行していくことが、効果的な「健康経営」へ繋がります。健康経営はまだまだ発展途中の事業戦略です。意味のある戦略を実行していき、PDCAサイクルを回して行く必要があります。
今回は、健康経営を進める中で、従業員が健康になることだけではなく、コミュニケーション向上にも効果を示すことをまとめていきます。

■健康経営に運動を取り入れることの重要性

コロナ禍以降、在宅ワークの増加によりテレワークを導入する企業が増えました。総務省の調査によると2022年にはテレワークを導入している企業は50%を超えています。(資料1参照)
テレワークの導入は、ワークライフバランスの向上や、通勤・移動・固定費のコスト削減というメリットがある反面、勤怠管理不十分・情報漏えいなどリスクの向上、業務上のコミュニケーション不足が生じる、などのデメリットもあります。その中でも企業において「コミュニケーション不足」は深刻な問題です。
「健康経営」で運動を取り入れることは、従業員の健康を向上させるだけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながります。

(資料1 総務省「通信利用動向調査」より)

01-運動が職場のコミュニケーションに与える影響

職場での「運動促進」と、「コミュニケーションの向上」の繋がりは想像できるでしょうか?
運動を取り入れることにより、職場のコミュニケーションに与えるポジティブな影響についてまとめていきます。

■リーダーシップの発揮

グループでの運動やフィットネスプログラムに参加することで、取りまとめるメンバーが必要になります。自然とリーダーシップが発揮される場面が増えるのです。例えば、運動プログラムの進行役を務めることで、チームメンバーを引っ張り、モチベーションを高める役割を果たします。そのため、仕事以外でもリーダーシップを発揮する場面が出来ていきます。

■信頼関係の構築

共同で運動を行うことで、従業員同士の信頼関係が深まります。互いに励まし合い、目標を共有することで、職場内の連携が強化され、信頼関係が構築されます。特に、異なる部署や役職の従業員が一緒に運動することで、普段は接点の少ないメンバーとの交流も増えます。

■心理的安全性の向上

運動を通じてリラックスした雰囲気を作り出すことで、従業員が自由に意見を述べたり、質問をしたりしやすくなります。これにより、職場の心理的安全性が向上し、オープンなコミュニケーションが促進されます。心理的安全性の高い環境では、従業員が安心して新しいアイデアを提案し、イノベーションが生まれやすくなります。

■ポジティブな企業文化の醸成

運動を取り入れることで、健康を重視するポジティブな企業文化が醸成されます。健康で活力ある職場環境は、従業員のモチベーションを高め、企業全体のパフォーマンス向上にも寄与します。さらに、従業員が健康であることは、企業のイメージアップにもつながり、優秀な人材の確保や定着にも貢献します。

02-コミュニケーション向上のための解決策の立案・選択

コミュニケーション向上には、「解決策の立案・選択」が重要だと考えています。(資料2参照)受け入れられる解決策を提案しなければ、実行に移してもらえないためです。以下に具体的な施策や工夫を紹介していきます。

(資料2)

■社内チャレンジイベントの開催

ウォーキングによる歩数競争やバーチャルマラソンなど、楽しみながら競い合えるイベントを開催します。これにより、従業員同士が励まし合い、競争し合うことで、コミュニケーションが生まれ、チームワークが強化されます。ウォーキングというハードルの低さから、最も手軽に始める事ができる社内イベントです。
私は福岡県を中心に活動をしているので、「ふくおか健康ポイントアプリ」をお勧めしています。

(ふくおか健康ポイントアプリサイト)
https://www.fukuoka-kenko.biz/

福岡県が行っている健康増進の企画ですので、無料で始めることが出来ます。また、グループの登録もできるので、「全参加団体の中での団体順位(企業順位)」「グループの中での個人順位(社内順位)」も出るのでコミュニケーションが生まれやすくなります。共通の言語が出来て会話のきっかけになるのです。おそらく他の都道府県に同じような仕組みがあるのではないでしょうか?一度検索されてみてください。
イベント終了後には、表彰式や懇親会を行い、さらにコミュニケーションを促進することも効果的です。

■グループ運動プログラムの導入

従業員同士が一緒に参加できるフィットネスプログラムやグループエクササイズを導入します。例えば、週に一度のヨガクラスなどを設けることで、自然なコミュニケーションの場を提供します。同じ空間に集まり、同じ時間を過ごすことで仲間意識が芽生え、コミュニケーションが生まれるのです。

■オンラインコミュニケーションツールの活用

Web会議ツールやチャットアプリを活用し、定期的なチームミーティングや雑談の時間を設けます。特に、運動プログラムや健康イベントに関連するチャットグループを作成し、情報共有や励まし合いの場を提供します。
ウォーキングイベントやランニングイベントをせっかく開催するのであれば、その前後もしっかりとコミュニケーションの場にするという考え方です。

■健康管理データの共有とフィードバック

健康管理データを共有し、自分の健康状態を把握することも効果的です。定期的なフィードバックを行い、健康管理業務を通じて従業員の健康意識を高めます。例えば、体重の変化、BMI値の変化を比較することで定量的に変化を確認することが出来ます。また、1年間の長期単位で糖代謝系検査数値(血糖値やHbA1cなど)、脂質系検査数値(総コレステロールや中性脂肪など)、肝臓系検査数値(γ-GTPなど)を比較しても定量的に分析できます。
健康診断の数値が良くなると、嬉しくて会社の仲間へ話をします。その結果、コミュニケーションが生まれると同時に「健康経営」の魅力を従業員に感じてもらえるのです。

03-まとめ

健康経営に運動を取り入れることは、従業員の健康向上だけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながります。リーダーシップの発揮、信頼関係の構築、心理的安全性の向上、ポジティブな企業文化の醸成といった効果を通じて、職場環境を改善し、企業の成長を促進します。健康管理データを活用し、問題点を把握した上で、ターゲットを設定し、具体的な解決策を立案・選択することが重要です。多角的なアプローチでコミュニケーションを促進し、健康で活気ある職場環境を実現しましょう。

執筆者経歴

Keep Running 代表(https://keeprunning-studio.com/) キープランニング株式会社 代表取締役
楢木 十士郎 氏
大手旅行会社勤務、製薬会社勤務を経て、2023年より現職。30歳から走ることに目覚め、24時間で何キロ走れるか距離を競うウルトラマラソンの4期連続日本代表、3期連続キャプテンを務める。今も世界へ挑戦し続ける。会員制ランニングスクール「Keep Running」を運営しながら、法人対象に「健康経営」の研修・サポート事業を行う。「健康経営」に必要な「運動」「栄養」「休養」をサポートする。

【実績】

<IAU24時間走世界選手権 日本代表>(※IAU:国際ウルトラランナーズ協会)
2013年 255.940km 6位 団体戦銀メダル(オランダ)
2015年 215.694km 59位(イタリア)
2017年 251.087km 14位 団体戦金メダル(北アイルランド)
2019年 250.865km 16位(フランス)

【資格】

MBA(経営学修士,GLOBIS 2022)/健康経営エキスパートアドバイザー(認証番号:23001370)/予防医学指導士(ID:R601379)/ランニングアドバイザー/日本スロージョギングベーシック/アスリート栄養食インストラクター/スポーツフードマイスター