健康経営支援サービス
健康経営を担う人事ご担当者様に、
役立つ情報を発信しています。
健康経営は従業員の健康を推進することにより、その先の目的を達成するための“経営戦略”です。
前回のコラム(第3回)では、「健康経営」と「業績の向上」の関係性について触れました。
健康経営は単なる福利厚生を超え、組織全体の持続可能な成長を支える重要な要素となることは間違いありません。
健康経営の成長戦略のさらなる目的として、「企業価値の向上」があります。
「健康」「栄養管理」は、健康経営を進める中で従業員の健康を守るための重要な柱となります。第4回では、健康経営における「運動と栄養管理」を推進することで、「企業価値の向上」にどのようにつながるかを探ります。
「企業価値向上」について理解するために、健康経営の全体像を理解すると分かりやすいので、基本的な内容ですが、01から03について再度確認していきましょう。
日本は超高齢社会に突入し、生産年齢人口の減少が深刻な問題となっています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2065年には総人口が約8,800万人にまで減少すると予測されています。この人口動態の変化は、企業にとって大きな課題となっています。
(資料1参照)
このような状況下で、企業が持続的に成長していくためには、「今いる人材に少しでも長く、そして健康に働いてもらう」ことが重要になってきます。ここで注目されているのが「健康経営」です。健康経営は、従業員の健康を投資と捉え、戦略的に取り組むことで、従業員の活力向上や生産性の向上、ひいては組織の活性化をもたらし、結果として企業価値の向上につながることが期待されています。
健康経営において、運動の推進が重要であることはここまで触れてきました。適度な運動は、身体的健康だけでなく、メンタルヘルスの改善にも大きな効果があります。
定期的な運動は、従業員の体力と持久力を向上させます。これにより、日々の業務における疲労が軽減され、集中力や作業効率が向上します。また、運動による血流の改善は、脳の活性化にもつながり、創造性や問題解決能力の向上にも寄与します。
※生産性の向上は業績に直結する重要なポイントです。業績との関係性については第3回で深堀りしています。
運動は、ストレス解消や気分転換の効果があります。エンドルフィンの分泌が促進されることで、不安やうつ症状の軽減にも効果があります。メンタルヘルスの改善は、職場の雰囲気を良くし、チームワークの向上にもつながります。
※メンタルヘルス問題は最重要課題です。第1回で深堀りしています。
定期的な運動習慣は、生活習慣病のリスクを低減します。これにより、企業の医療費負担が軽減され、経営的にもプラスの効果をもたらします。
社内でのスポーツイベントや運動プログラムの実施は、部署を超えたコミュニケーションの機会を提供します。これにより、組織の一体感が醸成され、協働の促進につながります。
※コミュニケーションは昨今問題視されており、大きなテーマなので、第2回で深堀りしています。
適切な栄養管理は、従業員の健康維持と生産性向上に直結します。第1回から3回まで運動について触れてきましたが、栄養管理なしでは健康経営は成立しません。「運動」「栄養」「休養」の重要な柱の一つであり、誰もが取り入れやすいポイントです。
バランスの取れた食事は、脳の機能を最適化し、集中力や記憶力の向上につながります。特に、朝食をしっかり摂ることで、午前中の生産性が大きく向上することが研究で示されています。
適切な栄養摂取は免疫系を強化し、病気への抵抗力を高めます。これにより、従業員の欠勤率が低下し、業務の継続性が向上します。
適切な栄養バランスと食事のタイミングを考慮することで、一日を通じて安定したエネルギー水準を維持できます。これにより、午後の眠気や集中力の低下を防ぎ、生産性の維持につながります。
適切な栄養管理は、肥満や生活習慣病のリスクを低減します。これは、長期的な視点で見た場合の医療費削減や生産性維持につながります。
効率良く行うためにも、【事前の問題点・課題把握、ターゲット設定、解決策、ターゲットの参加率を上げる工夫】をしっかり行うことが重要です。健康管理データを基に効率よく行いましょう。
運動と栄養管理を中心とした健康経営の取り組みは、以下のような道筋で企業価値の向上へとつながります。
健康な従業員は、より高い生産性を発揮します。これは直接的に企業の業績向上につながります。
健康経営に積極的な企業は、就職希望者からの評価が高くなります。また、従業員の満足度が高まることで、離職率の低下にもつながります。
健康経営に取り組む企業は、社会的責任を果たしているという評価を得やすくなります。これは、顧客や取引先からの信頼向上にもつながります。
従業員の健康状態が改善されることで、企業の医療費負担や健康保険料が削減されます。これは直接的なコスト削減効果をもたらします。
健康な従業員は、ストレス耐性が高く、また事故やミスのリスクも低くなります。これは企業のリスク管理の観点からも重要です。
健康で活力のある従業員は、より創造的な思考や挑戦的な行動を取りやすくなります。これは、企業のイノベーション力の向上につながります。
健康経営における運動と栄養管理の推進には、以下のような具体的な取り組みが考えられます。
健康経営の推進には、いくつかの課題も存在します。例えば、従業員のプライバシーへの配慮や、強制的にならない取り組み方の工夫が必要です。また、短期的には投資が先行するため、経営陣の理解と長期的視点が不可欠です。
しかし、これらの課題を克服し、健康経営を推進することで、企業は持続的な成長と価値向上を実現できる可能性が高まります。特に、健康経営は企業の社会的責任(CSR)の一環としても評価され、投資家からの支持獲得にもつながります。
結論として、運動と栄養管理を中心とした健康経営の取り組みは、従業員の健康と幸福度を向上させるだけでなく、企業の持続的な成長と価値向上に大きく貢献します。今後、ますます多くの企業が健康経営に注目し、積極的に取り組んでいくことが予想されます。それは、従業員、企業、そして社会全体にとって、win-winの関係をもたらす重要な経営戦略となるからです。
資料1:国立社会保障・人口問題研究所
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2022.asp?fname=T01-05.htm